2015-06-19(Fri)
娘の結生(ゆき)が熱を出したようです(38.5度)。
今日は少しだけ涼しかったので、窓を開けてお昼寝したのがいけなかったのかもしれません。
背中に皮膚鍼をして様子を見ています。
妻が抱っこしています。ちょっと落ち着いてきました。
抱っこの方が効果有りかもしれません。
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2015-06-17(Wed)
こんばんは、
私は毎年、いくつかの学会で発表しますが、そのうち、1~2回は、脈診に関する研究発表をしています。
脈診を中心に書かれた医書の研究や、症例報告などがその内容です。しかし、いつもほとんど、反応も質問も有りません。
また、実は鍼灸師の中でも、脈診をきっちりやる人は少数です。東洋医学といいながらです。
しかし、たまーに、脈診に対する問題提起を見ることが有ります。その内容がどうあれ嬉しくなります。
ある治療院のブログに、「「脈状診の研究」に関しての疑問」という文が乗せられていました。
この『脈状診の研究』は1980年に上梓された、井上系経絡治療のバイブルとも言うべき書籍です。
著者の井上雅文は、1940年代に形成された経絡治療が抱えていた課題、「最初に導入した脈診(六部定位診)では、様々な症状に対応出来ない」を、脈拍の様々な状態を診る脈診(脈状診)を取り入れることで、日々、季節ごとに変わる症状に対応させる診察法を考案しました。本書は180ページ弱の本でありながら、その形成過程から完成型の枠組みまでぎっちり詰め込んでいます。
井上系経絡治療をするには、最低限この本をマスターする必要が有りますが、非常に難解です。
何度も読み、先生から解説を受けて、やっと理解出来るといったものです。
(私の先生は、井上雅文に師事し、後に井上系経絡治療の研究会を立ち上げました。この本の成り立ちにも関わりました。)
ここ数年の基礎講座では、私が、この本で確定された診察法を講義しています。
このブログをお書きになった方は、独学でこの本に取り組んでおられるようですが、根気が要る作業です。頭が下がります。
(※ ここからは、さらに専門的になります。失礼します。)
この方のご意見は、
「『脈論口訣』を根拠に脈状と病証を組み合わせたと言うが、内傷(意識感情や生活動作、加齢による消耗)と外傷(外部の気候や寒暖による消耗)の区別が出来ないではないか」・・とのことかと推察されます。
この疑問は当然のことで、『脈論口訣』でも、さらに井上系の脈状診である〈人迎気口診〉の根拠となった『三因方』でも、「気口が強ければ内傷、人迎が強ければ外傷」といった説明となっています。
しかし、井上系の人迎気口診は、実脈ではその通りなのですが、虚脈では少し違っています。
それは「湿邪」の典型的な脈状が「沈細(沈小、沈虚)」であり、そこから、井上系人迎気口診では、虚脈においては、人迎が気口より浮いて強い場合(風邪)と、沈んで弱い場合(湿邪)は外傷と設定しました。
しかも、さらに「脈状の遅数や、滑濇の状態によっては内傷と外傷を逆転させる」との設定もあり、より構造的になっています。
・・・ちょっと、きりが有りませんね。
脈診の本に取り組む方、しかも『脈状診の研究』を勉強されての文章が珍しく、やるべきことを後回しにして、読んで下さっている方たちすら無視し、つらつらと書いてしまいました。
伝統医学的な鍼灸は、実際にはかなり理論的なんです。
鍼灸は、針金一本、もぐさ一つまみに過ぎませんから、今どんな状態かといった診察が実はとても重要なんです。
2015-06-15(Mon)
こんばんは、富山でこの土日に東洋医学会があり、症例報告をしてきました。
富山から帰ってきてすぐこのブログを書いています。
漢方と鍼灸の様々な発表が目白押しでした。
私たち鍼灸師はもちろん、医師、薬剤師に研究者など様々な立場の人が持論を展開するわけですから、
互いの論に賛同したり、けなしたり、無視したりと、忙しいものです。
どの分野でもそうかもしれませんが、共有される部分が有りつつも、ずっと統一されない部分が有るのですね。
しかし、大いに刺激になります。
学会の後は何となく治療がスムーズになる気がします。
2015-06-10(Wed)
中川です。
ここのところ、いささか季節とずれた暑さ、と思ったら晩はとても寒かったりと、寒暖が安定していません。
脈診、問診から治療をする鍼灸院をしていますと、人は、気候の寒暖に思いの外、影響されるな~と実感します。
それも、暑さを強く感じますとか、汗が出ますではなく、腰が何となく重いとか、眠れないとか、全く関係ないような症状で出てきます。
前回の投稿で触れましたが、伝統的な鍼灸は、内因、外因といった病因論を診察に用います。
”外が熱いと喉が渇き、寒いとこごえる。季節の変化で体調も変化し、季節各々に特有の症状が表れる。”
・・このような自然と人との関係から、病気の原因を考えたものを外因(外傷)と言います。
私たちにとって必要な自然が、過剰となった状態を外因とするわけです。
また、外の気候の激しさ、時期に合わない寒暖も有りますが、その人が消耗していれば、少しの気候の変化でも体調が変化してしまうことになります。
そういう眼で治療に当たりますので、患者さんを診る時も、必ず、その方の体力と、季節の寒暖を比較しています。
その上で、その方の体力が消耗したとする場合(=内傷 )と、季節の影響を受けたとする場合(=外傷 )に分けて治療をします。
外傷の治療をごく大雑把に言えば、寒さに影響されたなら、腰や足を温め、小便を出すことが中心となり、風の影響なら、上半身から軽く発汗させます。 ※風には、感冒なども含みますが、様々な空気の動きを指します。
そのように汗を出したり、小便を出す治療で、眠れないとか、腰が重い、などの症状がびっくりするほど改善することがよく有ります。
気候がいつもより激しかったり、時期外れの時は、要注意ですね。
2015-06-09(Tue)
こんばんは、
日曜は定例の基礎講座でした。
今回も講義用にレジュメを書きました。
鍼灸の病證学(びょうしょうがく:鍼灸の診断学です。)に関する内容で、「外傷」というテーマのレジュメです。
中国や日本の伝統医学で言う「外傷」とは、外部の風や寒さ、暑さ、湿気などの自然環境が、病の原因となることを指します。
これと対になるのが、「内傷」(ないしょう)で、恐れや悲しみ、憂いなどの感情が過度になることや、加齢や過度の疲労が、病の原因になるとする概念です。
伝統的な鍼灸では、症状や脈状から、今の状態は内傷、外傷のいずれに起因するのかを診察し、治療を組み立てていきます。
その一方で、この症状にはこの穴、といった診察の無い簡便法も有り、その方が好まれる風潮が有ります。しかし、このような方法では、効かない場合にどうすれば良いか解らなくなります。やはり、鍼灸には診察が必要です。
どのような枠組みで診察をしていくかが大事です。
見立てが無ければ、いかにすばらしい技術も、実は役に立たないのです。