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2013/06
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疳虫について
 こんばんは。芳里です。

 ここ数年、私は日本鍼灸史学会にて「宋代の小児科医書に於ける灸法について」と言う演題で研究発表をしています。
日本では広く、「散気の灸」(「ちりけの灸」、「ちりげの灸」)や「小児斜差の灸」と言われる特定の経穴(ツボ)を使っての灸法が伝承されているのですが、中国伝統医学においてその出典は不明なのです。
推測としては日本独自に発展した灸法なのかもしれませんが、研究途中なのではっきりはわかりません。

 「散気の灸」では疳の虫(乳児の異常行動を指していう俗称で、特に夜泣き、かんしゃく、ひきつけなどを指す。)に効くとされています。

 現在までの研究発表において明らかなのは、「疳」の病證(びょうしょう)が中国と日本とでは意味が違っていることです。日本のどの時代に中国伝統医学の病證の掛け違いがあったのか?この違いも含め研究をしているのですが、「ちりけの灸」が伝統医学だと言う鍼灸師も多くいます(学校でも教わります)。

 伝統医学と言うのは中国・漢代(2000年前)に確立しますが、現在、日本で東洋医学と言われているのは700年前の中国・金元明代からのものです。私が調べた宋代(1000年前)までの文献には「疳」の病證について特定の経穴を使っての治療法はない。と断言できますので、「散気の灸」が伝統医学の全てだとは言い難いです。

 今後は時代を下って元代の文献を調べる予定です。ゆくゆくは江戸時代の文献も調べようと思います。
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Author:shinkyuunakagawa
京都府右京区西院の鍼灸院です。

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